日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

Q&A Vol.590 【低ければOK!?】脳梗塞慢性期のリスク管理

質問

脳卒中慢性期の患者さんの血圧はなるべく低い方がよいと思いますが合っていますか?

回答

回答者:曷川 元、他 日本離床学会 講師陣

低すぎる血圧もリスクとなります。ご質問のように、脳卒中患者さんでは急性期に比べると、慢性期では血圧を低めに管理することが勧められていて、脳卒中治療ガイドラインでは、130/80 mmHg未満を目指すと記載されています。

では、質問の通り“なるべく低いほうが良い”のでしょうか。答えはNoです。実際に、慢性期脳梗塞の患者さんの血圧を低めに管理したところ、脳梗塞の再発が増えたという報告もあります(文献)。これは、急性期脳梗塞の血圧管理を考えるとわかります。急性期脳梗塞では、脳循環自動調節能が破綻するために、血圧は高めに管理されます。

慢性期では脳循環自動調節能はある程度回復していると予測できますが、脳血管に狭窄がある状況で血圧を下げ過ぎると、脳血流量が低下して、脳梗塞の再発につながるリスクがあるのです。慢性期の患者さんでも血圧管理は重要なので、低めの血圧を見つけたときには、すぐに対応できるようにしましょう。

文献
Bruce Ovbiagele. Low-normal systolic blood pressure and secondary stroke risk. J Stroke Cerebrovasc Dis. 2013 Jul;22(5):633-8.