日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

Q&A Vol.566 【見えないところも浮腫んでいる】心不全に関するQ&A

質問

心不全の患者さんに食欲低下が起こりやすいと聞いたことがありますが、なぜ食欲低下が起こるのでしょうか?

回答

回答者:曷川 元、他 日本離床学会 講師陣

心不全によって、腸管浮腫が起きるため、食欲が低下するものと考えられます。心不全は、心臓のポンプ機能が低下した状態です。すると体循環への影響として、全身の循環が心臓に戻ることが困難となり、頸静脈怒張や浮腫などがみられます。心不全患者さんの食欲低下については、この浮腫が関係しています。

通常、「浮腫」と聞くと、四肢の浮腫を考えがちですが、実は、腸管にも及んでいて、腸管浮腫と呼びます。腸管浮腫が起こると、栄養や水分の吸収障害や蠕動運動が障害され、便秘などを起こし食欲不振につながると考えられています。四肢浮腫が出現している心不全患者さんをみたら、腸管浮腫もあることを念頭に、栄養面のケアを検討しましょう。