日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

Q&A Vol.543 【塩分と体重減少のジレンマ】心不全の栄養に関するQ&A

質問

心不全患者さんは塩分制限が必要だと思いますが、食事が進まず低栄養も心配です。どうすればよいですか?

回答

回答者:曷川 元、他 日本離床学会 講師陣

塩分制限と食事の味がしない問題は、確かに悩ましいですよね。心不全患者さんは、食塩を多く摂取するとナトリウムの水分を貯める作用で、循環血液量が増加して心負荷が増大するために、塩分摂取制限が必要となります。

一方で、ご質問にあるように塩分を控えた食事では、どうしても薄味となるため、食事量が低下し、低栄養から体重減少・サルコペニアをなる可能性があります。さらに、心臓悪液質といって、心不全の影響で慢性的な炎症状態から、タンパク異化が亢進する状態となり、体重減少やサルコペニアが加速することが問題となります。

このジレンマに対して、最近は心不全の患者さんでも、画一的な塩分制限は見直してもよいという意見もあります。もちろん、過剰な塩分摂取は心負荷を増大させますが、心不全の治療・管理と、低栄養のリスクを天秤にかけ、医師や管理栄養士と相談して、個々に塩分制限の具合を調整できると良いと思います。