日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

Q&A Vol.534 【走行を読むのがポイント】便秘に対する腸アプローチ

質問

活動性が低い患者さんで、便秘が続いている患者さんがいます。薬に頼らず排泄を促したいのですが、何かできることはありますか?

回答

回答者:曷川 元、他 日本離床学会 講師陣

S状結腸から直腸へ便を送り込むことを意識して、腹部を動かしてみましょう。便はS状結腸の部分に一番たまっていて、S状結腸から直腸に便が移動すると、便意を感じて排泄につながります。寝たきりで腸の動きが悪くなり、腹圧がかからない環境が続くと、S状結腸から直腸への便の移動が起こりづらくなり、便秘となります。

S状結腸から直腸への便の移動を促すには、腹部マッサージが有用です。マッサージの方向は、腸の走行に沿って行うのがポイントで、下降結腸の走行に沿って、左の側腹部から腸骨に向かって下方に降ろします(図①)。

腸骨付近にS状結腸があり、直腸に向かって送りこむときに、解剖をしっかりと意識することがポイントです。S状結腸は、一度腸骨付近まで下がったあと、斜め上にあがってから後下方へ降りていきます(図②)。よくあるS状結腸の解剖図では、曲がりながら下りているように描かれていますが、実際には斜め上にあがること頭に入れて、腹部マッサージをするようにしましょう。