日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

Q&A Vol.528 【すくみ足にどう介入すべきか】パーキンソン病に関するQ&A

質問

パーキンソン病の患者さんのすくみ足に対して、手拍子などのリズム刺激によって、改善する人と改善しない人の違いは何が考えられますか?

回答

回答者:曷川 元、他 日本離床学会 講師陣

リズム刺激で改善しない人は、リズムは作れているけれど、身体がうまく動かせていないと考えられます。歩行は、常に脳からの動作の計画-実行という指令が出ているわけではなく、CPG (Central Pattern Generater)という決まった運動を脊髄レベルの神経回路で、リズミカルかつ自動的に行っているといわれています。

パーキンソン病では、このCPGがうまく働かずに、すくみ足となっている場合があります。CPGの自動的な運動パターンが働くためには、動作のきっかけが必要です。

身体の機能がある程度保たれている場合は、手拍子や床の線など聴覚・視覚刺激によって、動作のきっかけを作り、リズミカルな歩行につなげることができます。しかし、パーキンソン病が進行すると姿勢反射障害や筋強剛が進行するので、身体機能としてリズムに反応ができないと考えられます。

CPGが働いたリズミカルな歩行を獲得するためには、体幹が伸展し、立脚中期から後期に股関節伸展・足関節背屈が作れることが重要です。

リズム刺激だけで改善しない場合は、股関節伸展・足関節背屈を意識し介助を行うこと、補助具を使用して重心をコントロールして動きやすいアライメントに整えることで、リズミカルな歩行が改善するかどうか試してみてください。