日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

Q&A Vol.526 【3つのポイントで「どうせ良くならない」を変える】パーキンソン病に関するQ&A

質問

60代男性でパーキンソン病(ヤール分類Ⅲ度)の担当の症例が「どうせよくならない病気だからリハビリしても仕方がない」とモチベーション低下がみられます。どのように関わればよいでしょうか?

回答

回答者:曷川 元、他 日本離床学会 講師陣

パーキンソン病など進行する疾患のケアや離床では、ご質問のようなモチベーション低下が生じるため難しい場面があると思います。そのような中でも、離床やリハビリの効果を共有して、少しでもモチベーションアップにつなげる工夫が必要となるので、その工夫を3つ解説していきます。

一つ目には、パーキンソン病に対するリハビリは、進行性であっても意味があることをエビデンスの面から説明していくことが挙げられます。実際に、リハビリは進行を遅らせることや、症状の改善に有効であることが、多くの研究で支持されているので、患者さんが理解しやすいように、説明ができるように準備をしておくと良いでしょう。

二つ目は症状の改善を体感してもらうことです。ヤール分類Ⅲ度になると、すくみ足、易転倒性、痛みなど症状があるので、リハビリで症状の軽減を図ることで、有用性を体感してもらうのがポイントです。リハビリ後に動きやすくなった、姿勢が良くなった写真をリハビリ前後比較で提示するなど、具体的に良くなったことを実感すると、患者さんのモチベーションの改善つながることがあります。

三つ目は直接的な介入ではありませんが、同じパーキンソン病の患者さんで、リハビリに理解がある人に、リハビリを実施する効果や利点について話してもらうのも有効です。患者が集まる友の会などがあるので、情報提供するのも一案だと思います。モチベーション低下がみられる状況では、無理に離床やリハビリを進めるのは困難なので、対策の引き出しをいくつか持っておき、患者さんに合った対応をしてみてください。