日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

Q&A Vol.502 【2つの影響が関係する】挿管と嚥下障害に関するQ&A

質問

挿管されている患者さんは、なぜ嚥下障害を起こしやすいのですか?

回答

回答者:曷川 元、他 日本離床学会 講師陣

挿管患者さんは嚥下障害を起こしやすいことが知られていて、ICU-acquired swallowing disorders(ICU-ASD)と呼ばれて、近年注目されています。挿管患者さんが嚥下障害を起こす理由は、嚥下機能自体の問題と、全身状態不良の影響の2つに分けられます。

嚥下機能自体の問題としては、「挿管による咽頭喉頭の局所的損傷」「挿管による咽頭喉頭の感覚低下」「胃食道逆流」の関与が指摘されています。全身状態不良の影響としては、「神経筋障害による筋力低下(ICU-AW)が全身の筋および嚥下関連筋にも影響する」「せん妄・意識障害」「呼吸と嚥下協調不全」が関連していると考えられています。

これらのことから、挿管患者さんは、早期抜管を目指すために離床を促すことが重要ですが、嚥下障害を起こしやすいことを念頭に、早期から嚥下評価と対策を行う必要があります。