日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

Q&A Vol.500 【複合アプローチがポイント】脳出血に関するQ&A

質問

視床出血で上肢の痛みが強く、視床痛が疑われる患者さんがいて困っています。何か対策はありますか?

回答

回答者:曷川 元、他 日本離床学会 講師陣

視床痛は、後外側腹側核の障害で起こる難治性疼痛で、自発的に痛みが生じ、ジンジンとした強い灼けるような痛みが特徴です。少しの動作でも激しい痛みを生じるため、離床の阻害因子となります。

その発生メカニズムは明確になっておらず、有効な治療法も確立されていません。責任病巣としては、視床の後外側腹側核(VPL)といわれています。VPLは体性感覚の中継点(外側脊髄視床路)でもあり、この部分あるいは周囲からの異常伝導が疼痛の原因と考えられています。脳出血や脳梗塞でこの部位が障害されている時は、視床痛を疑い、アセスメントする必要があります。

治療は、薬物療法が一般的ですが、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)は効果がなく、脊髄電気刺激、抗うつ薬や微量の麻酔薬などが検討されます。疼痛により抑うつ傾向となる場合も多く、離床・リハビリテーションの阻害となるため、認知行動療法など心理面も含めたアプローチが重要になります。

離床時は、上記のような多角的治療の効果があるかアセスメントをした上で、動作によって痛みを出さないように、愛護的に進めていきましょう。