日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

Q&A Vol.488 【起きましょうで終わっていませんか?】“自ら離床する”を促す技

質問

患者さんが自ら離床を行ってくれるように促すには、どのようにすればよいでしょうか。

回答

回答者:曷川 元、他 日本離床学会 講師陣

とても重要な質問ですが、実際に患者さんが自ら離床する「自走」を促すのは難しいことですよね。ポイントは、「離床の必要性を理解してもらう」「どのように離床すれば良いか指導する」の2つだと考えます。

「離床の必要性を理解してもらう」についてですが、そもそも、入院患者さんや在宅療養の方でも、身体の状態不調なときに起きて活動しようと考える人が少ないのが現実です。動かないことで起こる合併症や、離床の効果について、丁寧に説明して伝える必要があります。

「どのように離床すれば良いか指導する」については、臨床で意外とできていないのではないでしょうか。「寝たきりでいると、筋力が落ちて肺炎になるので、なるべく起きましょう」と促しても、これでは不十分です。患者さんの立場からすると、いつ・どうやって・どのくらい起きれば良いのかが不明確なので、結局行動に移せないのです。

例えば、こんな時は起きていいという場面を、ADLベースに伝えることは有効です。「食事は椅子に座って食べましょう」「なるべくトイレにいきましょう」「売店に買い物にいってみましょう」など、明確な離床場面を伝えてみると、患者さんは自分が行うべき選択肢を持つことができます。

離床の教育を行っているのに効果が出ない・・・と悩んでいる方は、是非、参考にしてみてください。