日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

Q&A Vol.465 【何分座れれば座位で食事が可能?】嚥下に関するQ&A

質問

嚥下障害の患者さんでもなるべく車椅子に座って食事を進める方が良いと思いますが、リスクはなにかありますか?

回答

回答者:曷川 元、他 日本離床学会 講師陣

嚥下障害を持つ患者さんが車椅子に座っていると、姿勢が崩れて誤嚥するリスクがあります。車椅子座位での食事摂取において重要なのは、いかに安定した姿勢が作れるかどうか、です。

姿勢のチェックポイントは、股関節・膝関節ともに90度屈曲しているか、足関節は底背屈0度となっているか、大腿部が座面に接触しているか、肘や腕がしっかり肘掛けで支えられているか、などをみるようにしましょう。恐らく、車椅子に座った直後は上記のような理想的な姿勢になっていると思いますが、しばらくすると姿勢が保てていない・・・臨床ではそんなことがありませんか?

よくある原因は「耐久性のアセスメント不足」と「股関節を曲げすぎ」の二つです。「耐久性のアセスメント不足」については、食事時間を考慮すると、事前に30分以上座位姿勢が保てるかを評価しておきましょう。「股関節を曲げすぎ」は、フットレストに足を乗せると坐骨より膝が高い位置となり、大腿部の重みが坐骨に集中して、坐骨が痛くなるためにすべり座位になりやすくなります。足はつくことが大切ですが、股関節を曲げすぎないように意識しましょう。

車椅子の座位姿勢の崩れは、患者さん本人の身体機能に影響される面もありますが、多くはアセスメント不足で起こります。看護師やセラピストを中心に多職種で連携しながら、患者さんにとって食べやすい姿勢を検討していきましょう。