質問
急性期から生活期にかけて起こる認知機能障害は、実際どのような症状が多いのでしょうか?また、認知機能障害を起こしやすい患者さんの特徴があれば教えてください。
回答
回答者:曷川 元、他 日本離床学会 講師陣
急性期の疾患や治療による影響で、生活期にかけて身体・認知・精神機能障害が残ることを、集中治療後症候群(PICS)と呼びます。PICSによる認知機能障害の機序は十分明らかになっていませんが、記憶障害、注意障害、遂行機能障害、言語機能障害がみられます。これらの症状によって、ADLやQOLの低下につながるため、早期から継続的なアプローチが必要です。
認知機能障害を起こしやすい患者さんの特徴は、急性期の疾患が重症であることや、血糖コントロール不良の患者さんは高リスクと報告されているので、特に予防的介入が大切です(文献)。離床と合わせて、見当識に対する環境調整や、睡眠状況を改善するアプローチを検討しましょう。
文献
M Elizabeth Wilcox et al. Cognitive dysfunction in ICU patients: risk factors, predictors, and rehabilitation interventions. Crit Care Med. 2013 Sep;41(9 Suppl 1):S81-98.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/23989098/