日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

Q&A Vol.456 【チェックすべき2つのこと】β受容体遮断薬と離床に関するQ&A

質問

β受容体遮断薬が投与されている患者さんで離床を進める際に、心拍数のほかに何を指標にすればいいでしょうか。

回答

回答者:曷川 元、他 日本離床学会 講師陣

β受容体遮断薬が投与されている患者さんの離床を進めるときは、疲労感の確認と、アシドーシスのチェックが重要です。

β受容体遮断薬は血圧や心拍数を抑える作用があるので、運動負荷量を増加させた時に、急激な血圧低下を招く恐れがあります。

そこで、自覚的運動強度を確認して、患者さんがどれくらいの運動負荷を感じているのかを確認することが重要です。

目安として、Borg13(ややきつい)程度の運動負荷量に合わせるようにしましょう。

しかし、自覚症状に乏しく参考とならない場合もあるので、併せて血液ガス分析でのアシドーシスや乳酸値を確認することが大切です。

血中のpH濃度が7.35未満の場合はアシドーシスを疑い、乳酸値が3〜4mmol/Lを超えるとアシドーシスを発症するリスクが高まります。

アシドーシスの状態でβ受容体遮断薬を使用すると、心筋収縮力の抑制を増強させてしまう恐れがあるので注意が必要です。

薬剤から心機能を予測することと、作用を理解したうえでアセスメントを行い、安全に離床を進められるようにしましょう。