日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

Q&A Vol.444 【尿潜血=血尿と考えてよい?】尿検査と離床のリスクに関するQ&A

質問

尿検査で潜血が陽性の場合は、膀胱炎や結石など炎症を疑い、離床を避けたほうがよいでしょうか?

回答

回答者:曷川 元、他 日本離床学会 講師陣

尿潜血が陽性でも、全て血尿とは限らないので、他のデータもみて予測しましょう。尿潜血とは、赤く見える尿のことですが、尿が赤くなる原因は血液だけではなく、肝障害のときに増加するビリルビンやウロビリノーゲンによっても赤く見えます。なので、尿検査をみて尿潜血陽性を確認したら、ビリルビンとウロビリノーゲンが増加しているか確認しましょう。これらの増加があれば、肝障害を疑い、離床は肝機能によって負荷を調整する必要があります。

ビリルビンとウロビリノーゲンの増加がない場合は、尿検査の白血球と細菌の項目を確認しましょう。白血球と細菌の増加があれば、尿路感染症による膀胱炎から血尿の原因となっている可能性があります。炎症による血尿が原因の場合には、炎症の程度と推移を主治医と相談し、離床のタイミングやレベルを検討することが大切です。

このように、尿潜血だけでは原因や病態がわからないので、一歩踏み込んで離床のリスクを考える癖をつけてみてください。