日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

Q&A Vol.433 【臥床と筋膜の深い関係!】筋膜による痛みと対策に関するQ&A

質問

筋膜には痛みを感じる侵害受容器が多数あるということですが、痛みが発生する要因としてどのようなものが考えられますか?

回答

回答者:曷川 元、他 日本離床学会 講師陣

筋膜に痛みが生じる要因は多岐に渡りますが、入院患者さんに関連するものには、大きく分けて次の2つがあります。1つ目は不動による筋膜同士の癒着、2つ目は疲れやストレスに伴う過緊張です。

長期臥床に伴い不動の状態が続くと、筋膜同士が過度に拘縮して筋膜に圧力がかかった状態になります。圧力がかかると筋膜が損傷し、痛みが生じることでさらに不動が進行しかねません。 また、筋の不活動化は伸張性低下に基づく可動域制限だけでなく、筋萎縮も進行させることが分かっています。そこで、まだ疼痛が少なく可動性が保たれている段階から、ベッド上エルゴメーターを活用しましょう。ベッド上エルゴメーターは、座位だけでなく臥位でも使用できるので、筋の伸張性改善や筋力の維持、疼痛回避にも繋がります。

また、不動以外にも疲れやストレスが要因となって筋膜に疼痛が発生することがあり、これを「筋・筋膜性疼痛症候群」と呼びます。ストレスや緊張などで筋肉が硬くなり、局所の虚血や乳酸が蓄積することで痛みが生じます。これを防ぐためには、ストレッチやマッサージが効果的です。もし腰痛が生じているのであれば、ハムストリングや大腿四頭筋などをストレッチが有効です。筋膜に疼痛が生じる要因は様々なので、原因を特定した上で適切な対処法を選択することが大切になります。