日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

Q&A Vol.428 【栄養指標のフィッシャー比ってなに!?】肝障害のデータに関するQ&A

質問

肝障害の栄養指標に有用なフィッシャー比はどのようなものか教えてください。

回答

回答者:曷川 元、他 日本離床学会 講師陣

フィッシャー比とは、活動時のエネルギーとなる血中分岐鎖アミノ酸と、タンパク質の構成やホルモンのもととなる血中芳香族アミノ酸の比率です。フィッシャー比は、肝代謝・予備能の指標、肝障害の重症度判定に有用とされていて、1.8未満では肝障害低下の目安となります。フィッシャー比が低値の場合には、分岐鎖アミノ酸を豊富に含む経腸栄養剤や点滴製剤を用い、必要なアミノ酸を是正します。それにより肝臓でアルブミンという蛋白が合成促進され、予後改善につながるとされています。

また、分岐鎖アミノ酸の投与はアンモニア代謝を改善するため、肝性脳症が改善するともいわれています。現在処方することのできる分岐鎖アミノ酸製剤には、点滴製剤・経腸栄養剤・顆粒製剤などがあり、患者さんに合わせて選ぶことができます。非代償性肝硬変や劇症肝炎などで肝機能が低下すると、フィッシャー比低下がみられるので、離床の負荷はチームで慎重に検討しましょう。