日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

Q&A Vol.410 【陰影の範囲だけが肺炎の重症度を反映するわけではない】画像所見に関するQ&A

質問

肺炎は画像所見から重症度を判断することはできますか?

回答

回答者:曷川 元、他 日本離床学会 講師陣

肺炎は、胸部X線画像・CT画像で陰影がどれくらい広がっているかと、浸潤影が拡大する速度が重症度判断のポイントです。肺炎は咳や発熱、呼吸困難などの身体所見から疑うことが多くありますが、高齢者は身体所見と重症度が乖離することがあるので、画像から重症度を予測することは重要です。

アメリカ胸部疾患学会(AST)による、重症支柱肺炎の診断基準における画像所見の項目では、「両上側の浸潤影」「上多葉にわたる浸潤影」「浸潤影が48時間で50%以上拡大する」が挙げられています。

ASTの基準以外には、胸部X線画像の陰影の広がりが、軽症の場合は1側肺の1/3程度、重症の場合は1側肺の2/3以上とされているものもあります。

上記からわかるように、浸潤影が広範囲の場合、上葉に障害がある場合、浸潤影が短時間で広がる場合は重症化のリスクがあります。身体所見と併せて画像所見も参考に、離床のレベルを検討しましょう。