日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

Q&A Vol.368 【ここがポイント!】放射線治療後の離床に関するQ&A

質問

骨転移に対する放射線治療後は、骨が再石灰化すると聞いたことがありますが、離床による骨折リスクは下がるのでしょうか?

回答

回答者:曷川 元、他 日本離床学会 講師陣

放射線治療後も病的骨折のリスクは変わらないと考えます。放射線治療の最大の効果は除痛で、60〜75%の症例で改善し、25〜35%の症例で痛みが消失すると言われています。照射回数は大部分の放射線腫瘍医が30Gyの10回分割照射を選択し、10%程度が8Gyの単回照射を選択していたと報告されています。除痛効果については両者で有意差が無いようです。

分割照射の研究では、骨の再石灰化がみられたものの、病的骨折の減少効果は認めないという報告があります。放射線を当てたから骨が強くなり安全に離床できる、とは必ずしも言えないようです。治療で痛みが減っても、引き続き病的骨折に注意しながら離床を検討しましょう。

参考文献
宮澤一成他:骨転移による緩和的放射線療法.乳癌の臨,35:53-61,2020.