日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

Q&A Vol.341 【どんなリスクがわかる?】心エコーに関するQ&A

質問

心エコーのE/e’は心臓の拡張能をみる指標とありましたが、どのような異常がわかるのでしょうか?

回答

回答者:曷川 元、他 日本離床学会 講師陣

E/e′は、左室の拡張能(血液の取り入れ能力)を示す指標で、心臓の柔軟性を表しています。左心室に入ってくる E(血流の速度)を e’(僧帽弁の動く速度)で割ったもので、拡張能の良い心臓では、e’は大きくなり、拡張能の悪い心臓では、e’は小さくなります。E/e′は15以上で拡張不全と診断され、近年注目されている、拡張不全型の心不全(ヘフペフ)が疑われます。

ヘフペフ は、高齢者・女性・糖尿病・心房細動・高血圧症でよくみられ、他臓器疾患(呼吸器疾患、慢性腎臓病 など)を併存する症例が多いことが特徴です。収縮能(左室駆出率:EF)が悪いタイプの心不全(ヘフレフ)と違って、ヘフペフは予後改善の特異的治療法が確立されていません。

多種多様な併存疾患を有する個々の症例に応じた治療法が選択されているのが現状なので、離床に関しても個々のリスクに配慮した方法を検討しましょう。