日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

Q&A Vol.324 【専門機器がない!】心臓に負荷をかけない離床・運動のコツ

質問

機器がなくてATの測定ができない場合、離床や運動による心臓への負荷をどのように予測すればいいですか?

回答

回答者:曷川 元、他 日本離床学会 講師陣

ATとは嫌気性代謝閾値(Anearobic Threshold)のことで、安全に運動を持続できる運動強度の指標です。嫌気性代謝とは「酸素を使わない代謝」のことで、糖(グルコース)が分解され乳酸が産生されるときに、エネルギー(ATP)が生み出される経路のことです。このATは、呼気ガス分析装置を使用し求めることができますが、施設にそのような環境がない場合、ATを推測する必要があります。

ATレベルを推測する方法はいくつかあり、
1.主観的運動強度(ボルグスケール)12~13(楽である~ややきつい)での運動強度
2.カルボーネン式でのκ値を0.5~0.6に設定する
3.安静時心拍数+20bpm などがあります。

カルボーネンの式は(220-年齢-安静時心拍数)×κ+安静時心拍数で求める事ができます。

上記1~3で求めた運動強度、心拍数に達するような強度で運動を持続することで、心臓に負担をかけることなく安全に運動を持続できると考えられます。参考にしてみてください。