日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

Q&A Vol.314 【外せない2つの対策】麻痺による拘縮を予防するには

質問

拘縮が進行する原因には不動以外に何がありますか?その対策も教えてください。

回答

回答者:曷川 元、他 日本離床学会 講師陣

拘縮が進行する原因として、不動以外には運動麻痺が問題となりやすいです。運動麻痺は脳卒中でよくみられますが、麻痺側の関節を動かす機会が減ると、徐々に筋緊張が高くなり、結果的に関節拘縮が進行してしまいます。

対策は、「臥床時のポジショニング」を徹底すること、「積極的に関節を動かす」ことの2点が重要です。臥床時のポジショニングは、肩や腕の部分とベッド・クッションの間に隙間が空くと、頭だけで体を支えるような姿勢になります。この姿勢では腕の重みで常に肩関節が伸展している状態になり、肩関節の拘縮と疼痛発生の原因になるので注意が必要です。麻痺側上肢の下にクッションを敷いて上肢が体より高くなるよう位置調整し、上肢に力が入らない楽な姿勢を作りましょう。

下肢も同様に、膝下や足底にクッションを敷いて、なるべく体とクッションの間に隙間ができないよう注意してみてください。そしてリハビリや日常生活において、関節を動かす機会を増やすことが大切です。特に痙性が強い方は関節の動きが硬くなりやすいので、関節可動域(ROM)エクササイズやストレッチ等で関節を動かして拘縮予防に努めましょう。ROMエクササイズの回数を増やすには、病棟スタッフが検温や更衣、口腔ケアなどのついでに、少ない回数で小まめに“ながらROM”を実施するのがコツです。拘縮は一度生じると改善が難しいので、多職種で負担を分散して対策できるように協力してみてください。