日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

Q&A Vol.265 【下行大動脈から予測できる無気肺の位置はどこ?胸部レントゲンに関する Q&A】

質問

下行大動脈のシルエットサインが陽性の場合、無気肺はどこにあると考え、離床はどう進めればよいですか?

回答

回答者:曷川 元、他 日本離床学会 講師陣

下行大動脈のシルエットサイン陽性の場合は、背側の無気肺を疑い、背側の換気改善を意識して離床の戦略を立てていきます。

詳しく解説していきます。図のX線画像では下行大動脈左縁の線がみえません。下行大動脈は、左心室から心臓上部に大動脈が出てから、心臓の後ろを回るように下行していきます。つまり、下行大動脈と隣接する肺区域は背中側のS6、S10で、図の画像では、この領域の無気肺が推察されます。改善のためには、背側の換気を促すためにヘッドアップ・座位を目指すことが有効と考えられます。ちなみにシルエットサインとは、本来みえるべき線が見えないこと差し、陽性の場合は異常を意味します。

このように、臨床ではX線画像から無気肺の位置を推測し、離床や体位変換による改善のヒントにつなげることが重要です。画像を離床に活かしてみてください。