日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

Q&A Vol.247 【改善を目指さないアプローチ?】記憶障害に関するQ&A

質問

記憶障害は改善しにくいと講義でありましたが、アプローチをしても効果が得られにくいと考えてよいのでしょうか。

回答

回答者:曷川 元、他 日本離床学会 講師陣

記憶障害は改善しづらいのは事実ですが、アプローチは行います。アプローチは、記憶障害そのものを改善するためではなく、記憶障害がある状況で、生活できるように援助していくことは主目的となります。記憶障害へのアプローチには、(1)機能回復、(2)代償法、(3)環境設定とあります。記憶障害がある状況で、生活できるように援助するとは、主に(2)と(3)が主役となります。

「代償法」とは、スケジュール帳やタイマーを活用し、物事を忘れることを前提に、脳の記憶以外のツールに頼る方法です。

「環境設定」は、部屋の引き出しに目印をつけることや、お薬カレンダーを冷蔵後につけるなど、生活環境を工夫する方法です。

もちろん、機能回復を目指した練習も行うことは良いことですが、退院後の生活を見据えて、早期に代償的手段と環境設定に慣れ、患者さんが自立した生活に向けて支援することが最も重要だと考えます。

障害の特性から、アプローチの優先順位を考えてみてください。