日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

Q&A Vol.243 【同じアプローチではダメ!】半側空間無視に関するQ&A

質問

半側空間無視のアプローチですが、重症度に関わらず麻痺側から声掛けをした方が注意が向きやすくなるのでしょうか?

回答

回答者:曷川 元、他 日本離床学会 講師陣

ご質問にあるように「重症度」がポイントです。

臨床上の経験ですが、軽度の半側空間無視の場合、麻痺側から声掛けを行い麻痺側の注意が向きやすくなるようにアプローチすることがあります。しかし、重症例に関しては、麻痺側から声をかけているのに、非麻痺側に過剰に注意が向いてしまうことを経験したことがあります。

御園らは同様に、麻痺側からの声掛けは、重度例ではかえって非麻痺側空間へ過剰に注意を向けることがあるので、注意が必要である¹⁾と述べています。つまり、重症例では注意の向く非麻痺側から声掛けを始めたほうが、患者さんの混乱が少なくて良いと考えます。

また、どちらから声掛けするか決定したら、その情報をチームでも共有するようにして患者さんが混乱しないように配慮しましょう。

1) 御園生香・他:BIT行動性無視検査日本版の行動検査における右半側球損傷患者の誤反応分析.神心理17(3):121―129,2001.