日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

Q&A Vol.235 【キレイごとでは済まない!】点滴を何度も抜いてしまう認知症患者さんへの対応

質問

認知症患者さんに点滴ルートを何度も抜去されます。治療を優先するために、やむを得ず身体抑制をしましたが、正しかったのか悩んでいます。なにか良い方法があるのでしょうか?

回答

回答者:曷川 元、他 日本離床学会 講師陣

確かに、治療を優先すべきか、患者さんの尊厳を守るべきか悩みますよね。

「身体抑制はゼロにするべき」とよく紹介されていますが、実際の臨床では難しいのが現状です。質問者のように、治療と患者さんの尊厳を天秤にかけ、悩み続ける姿勢こそ最も大事だと思います。

点滴ルートを抜いてしまう方への対応ですが、2つコツをお伝えします。1つは「点滴の位置」です。ルートが視界に入ると、どうしても触ってしまう方がいます。点滴ルートを見えない位置に置くことや、針の刺入部も包帯で隠すなどの配慮をしてみてください。

2つ目は「外せるときに抑制を外す」です。点滴を見えないようにしても、何回も抜かれてしまう場合は、やむを得ず身体抑制が必要と考えます。この場合は、身体抑制が“一時的”なものになることが大切です。点滴を落としていない時間は身体抑制を解除し、自分で動けない場合は、体位変換や清拭の際に四肢を大きく動かすなど、拘縮予防への配慮も忘れないようにしてください。

患者さんの安全を確保しつつ、よい治療・ケアが受けられるように、サポートすることが重要だと思います。参考にしてみてください。