質問
先日カンファレンスでチラッと耳にしたのですが、“脈ありVT”とは何でしょうか?
回答
回答者:曷川 元、他 日本離床研究会 講師陣
“脈あり”と聞くと、学生時代の好きな人を思い出す人もいるのではないでしょうか?
…余談はさておき、本題にいきましょう!
そもそも心室頻拍(VT)とは、心室性期外収縮(PVC)が3連発以上続くものと定義されます。
PVCの発生機序も心室内でリエントリー回路(興奮の旋回)を有するものや、心室の自動能が亢進しているものなどがあります。
リエントリー性のものは一般的に心拍数が早く、いわゆるVT発作(脈なしVT)を呈するものが多いのですが、自動能が亢進しているものはAIVR(accelerated idioventricular rhythm;促進型心室固有調律)と言い、心拍数もあまり高くならないこともあります。
この場合心拍出量は保たれ、動脈触知もできることから“脈ありVT”と表現されます。脈ありVTの場合は無症状の場合も多く予後は良いとされています。治療は原則PVCに対する薬物療法、すなわちアミオダロンやβ遮断薬の内服になります。
同じVTの波形でも、緊急性の高いものとそうでないものがあるので、心拍数と動脈触知も合わせてアセスメントしてください。