日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

Q&A Vol.112 術後せん妄状態の患者さんへの関わり方

質問

不安定狭心症でCABGope後の患者さんがいます。術後、肺炎の併発、VT発作等で離床が進まない状況でした。最近、呼吸・循環動態が落ち着き、全~中等度介助で車椅子乗れるようになりました。しかし、せん妄が強く指示動作への応答が乏しいため、それ以上の活動が進みません。何か活動性upのアイデアはありますでしょうか?

回答

回答者:曷川 元、他 日本離床研究会 講師陣

せん妄がある患者さんに、離床を進めていくことは重要ですね。
重篤な状況にある中で何をクリアしたら離床を進められるか、常に考えてケアされているのだと思います。

せん妄があるとのことで、ただ離床するというだけでなく、認知面にもアプローチしたいところですね。
車椅子に乗車はできているとのことですが、テーブル等を前方に設置してますでしょうか?
テーブルがあれば、体幹が前屈しても手・肘で支えられるので、姿勢の安定性が確保されます。
姿勢が安定すれば、上肢の自由度が増えるので、作業にも繋げやすくなります。
身体を支えやすい、作業しやすい高さの設定を評価することが大切ですね。

上記の様な姿勢が確保できたら、ご家族へ依頼して思い出の写真や好きな雑誌を持ってきていただきます。
テーブル上で観る、めくる、といった動作を誘導してみる。それらについて質問したり筆談を促したりする。
それだけでも、上肢活動の促し、体幹・頚部の運動と安定性向上、さらに視覚・聴覚を通して認知面にもアプローチできますね。

また、車椅子に移乗していない時間の過ごし方を考えることも大切です。
ベッドの向きはいかがでしょうか?
景色・天気、日の傾き・昼夜がはっきり認識できる環境を整備する。
決まった時間にラジオを聴く。
話しかける際は毎回時間を伝えるといった取り組みも良いですね。
24時間をどう過ごすかまで考えて、より良いケアを行ってくださいね。