早期離床Q&A(回答者:曷川 元 他 日本離床研究会講師陣)

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Q63.

腹部が膨隆している際に、肥満体型の方の腹部と腹水のアセスメントに自信が持てません。少しでも早く異常に気づくためにも、腹水と脂肪を見分けるポイントを教えてください。

A63.

確かに、肥満体型の方でも腹部はパンパンに張っている方もいれば、プニュプニュと柔らかい方もいます。

まず、肥満だけを考えるのであれば、内臓脂肪なのか、皮下脂肪なのか?を分けて考えることです。

内臓脂肪は隠れ肥満とも呼ばれ、視診だけではわかりづらいともいわれています。
内部から膨隆してくるので、腹部は張り、皮膚に光沢を認められます。

皮下脂肪は下腹部を中心とした、たるみが認められ柔らかい印象がとられます。

そのため、背臥位での視診では皮下脂肪による膨隆は左右の側腹に流れますが、内臓脂肪は張っているため大きな著変を認めません。

腹水の場合では、皮下脂肪のように左右の側腹部・背側に移動します。

では、腹水と皮下脂肪の見分け方については、フィジカルアセスメントの打診を用いることが有用です。

水は動くものなので、故意に動かすか、移動させるかの2つ方法をとります。

・波動の感知
側腹部を軽く叩き衝撃を加え、対側に置いた手に波動を感じた場合は腹水を疑います。

・背臥位と側臥位での打診音の違い
腹水があるとガスが腹水に浮かび、腹側の打診では鼓音が著明となり、腹水を認める側腹部や背側では濁音となります。(音の変化する境界線に印をつけます)
ガスと腹水との境界を背臥位と側臥位で比較した際に、境界線が異なる(移動する)場合には腹水を疑います。

また、腹水が多量に認められる場合(水が移動できない)には、鼓音は聴取できないので、圧迫による浮腫を判別する方法も必要です。

腹部はデリケートな部分であるため、いきなり刺激を与える触診や打診は行いません。
まずは視診や問診から段階的に異常を察知して、原因を探求していくことが大切です。

大きな異常を見つけることより、わずかな違いに気づけるよう、毎日のアセスメントをしっかりと行いましょう。

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