早期離床Q&A(回答者:曷川 元 他 日本離床研究会講師陣)

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Q64.

在宅看護に従事している者です。質問なのですが、訪問時に痰がなかなか出ずに咳き込んでしまっている利用者さんが多くいます。咳が始まるとケアもそこでストップしてしまいますし、看護師として何か対処できないものかと思いまして…。アドバイスお願いします!

A64.

在宅入院という言葉が出てくる程、今の訪問現場では医療処置の必要な利用者さんが多くいます。
また最近では在宅での看取りも増えてきましたよね。
そんな限られた時間のなかで、次々にケアや観察を行うには相当なプレッシャーかと思います。本当に日々お疲れ様です。

まず、咳き込んでいるとのことですが、咳の状態は如何でしょうか?湿性咳嗽でラトリングも聴取出来る様であれば、加湿をご検討ください。
時期によっては部屋の中が乾燥していると口腔や気道内も乾燥しがちです。そうなると痰も水分を失い、固く粘調度が増し「つるっと」と出にくくなります。

加湿器を設置するのも1つですし、タオルを部屋干しするのも良いでしょう。またお茶の湯気をゆっくり鼻から吸っていただくのも有効です。ただし熱い蒸気は逆に咳嗽の引き金になる刺激となる可能性もございますので、注意して下さい。

部屋や口腔内の加湿を促した上で、深呼吸やハッフィングの指導を行います1)。排痰に必要なことは呼気流速を如何に上げるか?にかかってきます。ハッフィングとは吸気後に口をハの時にして、一気にハーッと呼気流速を上げ、喀痰を促す方法です。

また、ハッフィング前に深呼吸を行い、十分な空気を肺内に取り込むことが大切です。それを勢いよく吐くことで流速が上がるのです。

さらに、排痰時の姿勢も重要です。仰向けで寝ている姿勢より、身体を起こし座位に近い姿勢を取った方が、流速は上がります。

ただし、もともと肺実質が脆弱な症例(慢性閉塞性肺疾患の方、その他呼吸器疾患をお持ちの方)に関しては、気胸や気道の損傷に注意が必要ですので観察を怠らないよう気を付けましょう。

それでも咳嗽がよく出る、喀痰がうまくいかない場合は、鎮咳薬や去痰薬、気管支拡張剤などの薬剤を医師に相談してみましょう。在宅はひとりで気負うと長く続きません。今後も皆さんの在宅でのご活躍を期待しております。

1) 曷川元:実践!早期離床完全マニュアル―新しい呼吸ケアの考え方:p167

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