人気コーナー「Dr中西の離床面白エビデンス」の最新情報をお届けします!
このコーナーでは、当会の医師部会の中西医師が“これは面白い”という、離床にまつわるエビデンスを紹介。
中西節でわかりやすく、楽しく、ユーモアを交えて教えてくれます。
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みなさんこんにちは。筋萎縮ゼロプロジェクトの中西です。
今回は「TAVI後の離床はいつから?」を紹介します。皆さんTAVIというのをご存じでしょうか。TAVIというのはTranscatheter Aortic Valve Implantationの略語で、経カテーテル的大動脈弁植え込み術です。従来は心臓を切り開いて、大動脈弁の置換をしていたものをカテーテルで治療が可能になり、実際に日本でも多く行われています。
しかし、心臓を切り開いていないからどんどん離床をしていってよいのでしょうか??いくら侵襲が少ない手技でも、血行動態が急激に変化するので、致死的な不整脈がでるリスクも高い治療です。
では実際には、どのような早期離床が行われているのでしょうか。そんな疑問に答える、観察研究がカナダのLauckさん達から紹介されました。このカナダの施設では、TAVI後4時間から離床を行うプロトコルを使用しているようです。4時間!?有害事象はないのでしょうか。
139人の患者さんのデータを解析し、早期離床の中央値は4時間であったようです。85%の患者さんは8時間以内に歩行までしていたようです。離床ができていなかった患者の原因は、不整脈のモニタリング 7%、血行動態・神経学的な不安定性4%、システムの問題4%であったようです。
この研究では、TAVI後4時間での離床が安全だったと結論付けられてますね。あくまでのこの研究ではです。単施設の研究なので、これが他の施設でも妥当かは様々な研究が必要ですが、一つの重要なエビデンスですね。
どのような患者さんで、どのようなタイミングで離床をしていくのかは、今後の重要な課題かと思います。日本からもいろんなエビデンスを発信していきたいですね。
Early mobilisation after transcatheter aortic valve implantation: Observational cohort study
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37610363/