日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

【Dr. 中西の離床面白エビデンス】離床できない機器もない、その時どうする?

人気コーナー「Dr中西の離床面白エビデンス」の最新情報をお届けします!このコーナーでは、当会の医師部会の中西医師が“これは面白い”という、離床にまつわるエビデンスを紹介。中西節でわかりやすく、楽しく、ユーモアを交えて教えてくれます。

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早期からの介入が大事だとわかっていながら、48時間以内に開始なんて全然できていないよ~と悩んでいませんか?

早期アプローチのキーとなるROM(関節可動域エクササイズ)の有効性について無作為化比較試験の結果がなんとイランから報告されました。ROMエクササイズというと他動的に関節を動かすリハビリエクササイズになります。

Rahiminezhadらは、ICUに入室した患者さんを無作為に3群に振り分けました。
①ROMエクササイズ ②マッサージ ③対照群です。
そして7日目の握力を比較しました。マッサージいる!?って感じです(笑)

結果の握力はROM +0.63kg、マッサージ +0.29 kg、対照群 -0.55kgとなりました。

ってマッサージもよくなってるやん!? ってツッコミたい気持ちもありますが、ポイントは早期のROMエクササイズに十分効果があるという点です。

早期離床ができない、特別な機器もない、そんな時に誰でもどの患者さんでもできるROMエクササイズの効果が評価された意義は大きいと思います。この結果を共有して早期リハビリ48時間以内を達成したいですね。社会復帰に向けてできることから一歩ずつ!明日はきっと素晴らしいはずです。

文献リンク
Elham Rahiminezhad et al. A randomized controlled clinical trial of the effects of range of motion exercises and massage on muscle strength in critically ill patients. BMC Sports Sci Med Rehabil. 2022 May 26;14(1):96.
https://bmcsportsscimedrehabil.biomedcentral.com/articles/10.1186/s13102-022-00489-z