日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

Q&A Vol.648 【どうアプローチすればいい?】失行のアプローチに関するQ&A

質問

観念失行に対するADL練習は、調べると色々あるのですが、結局正しいとされる動作の反復練習に終始してしまいます…どうすればいいですか?

回答

観念失行のアプローチには「直接訓練(errorless leaning)」と「代償戦略訓練(strategy training)」があります。

直接訓練は、患者さんがADLやIADLの動作を実施している時にエラーを起こさないよう、困難な部分に対して手を誘導したり、模倣させたりする訓練方法です。

更衣動作で袖に手が通せない方の場合、腕を入れる穴を確認し、入れたい腕を穴に入れ、肘を伸ばし、袖から手を引っ張り出す。このようにできるだけ動作を分解して、細かい課題を1つずつ行い、介助を必要とせずに次の課題へ進めるようになれば、徐々に介助量を減らして練習を進めていきます。各課題でエラーが減り、介助が必要なくなってくれば、一連の動作をつなげて練習するとより効果的です。

代償戦略訓練は、苦手な動作を別の手段を用いて代償・補填する訓練方法で、代表的なもので「自己教示法」というアプローチがあります。

例えばハサミの使い方がわからない場合、「大きい穴には人差し指と中指を入れる」「小さい穴には親指を入れる」このように動作の手順を言葉にして自己教示すると、苦手な動作も遂行しやすくなります。言語化での代償方法以外にも、絵や動画で動作手順を提示する方法があります。

直接訓練と代償戦略訓練は、どちらも効果的な失行へのアプローチなので、患者さんの反応をみながら、その人に合った方法が選択できると良いと考えます。是非、参考にしてみてください。

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