質問
心不全の患者さんの離床時には起立性低血圧に注意しています。収縮期血圧の低下に、注意する以外にリスク管理のポイントはありますか?
回答
心不全の患者さんの離床時には、収縮期血圧の低下以外に、「脈圧」と「平均血圧」にも注意が必要です。「脈圧」とは、収縮期血圧と拡張期血圧の差であり、心拍出量を反映し、脈圧が20 mmHg以下は心拍出量低下を示唆します。「平均血圧」とは、常時血管にかかっている圧のことで、臓器血流を反映し、平均血圧の値が65 mmHg以下で臓器灌流低下を示唆します。
心不全の患者さんは、心臓のポンプ機能の低下によって血液を送り出す力が弱くなっているため、心拍出量が低下するので脈圧が低くなりがちです。さらに血管内の平均血圧も低下し、臓器への血流が不足しやすくなります。
例えば、離床後の血圧が収縮期血圧90mmHg/拡張期血圧75mmHgのケースを考えてみましょう。この場合、収縮期血圧の値は保たれているので、問題がないように見えます。しかし、脈圧と平均血圧の観点から考えると、脈圧は15mmHgと心拍出量の低下が考えられるので、失神などの症状に注意が必要です。離床時のリスク管理においては、収縮期血圧だけでなく、脈圧や平均血圧もチェックし、循環に問題がないかみるようにしましょう。
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