日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

Q&A Vol.555 【一辺倒なバランス練習ではダメ】転倒リスクから逆算したアプローチ

質問

高齢者が転倒しやすい場面と、転倒予防にはどのような練習をすべきですか?

回答

高齢者が転倒しやすい場面には、方向転換が挙げられると思います。転倒予防のために、バランス練習として片足立ちや、サイドステップなどの練習はよくやられていると思いますが、ADLで要求される方向転換の練習は、意外とやられていない印象があります。

例えば、トイレに行って、歩いてベッドに戻って座る場面があります。トイレから出て、ベッドに近づいて座るときに、臀部をベッドの方に向けるためには、方向を変える必要があります。

皆さん、今、近くにある実際椅子やベッドに座ろうとしてみてください。恐らく、片足を軸にして、他方の足を後ろに引くようにバックステップを踏んで、座面の方に臀部が向くように向きを変えたのではないでしょうか?このバックステップがうまくできず、転倒するケースが多いと考えられます。

バックステップのためには、動作練習を繰り返すことも重要ですが、身体と目標(この場合は座る先のベッド)の認知機能や、視覚と動作の協調、感覚機能、足関節や股関節の可動域と筋力など、複合的な要素が関わるので、問題となる要素を見極めて、アプローチを行う必要があります。参考にしてみてください。

[バイオメカニクスに基づく転倒予防アプローチを学びたい方は]
12月16日(土) 10:00~16:10 ※2週間見逃し受講期間有り
バイオメカニクスを活かした理学療法の神髄~動作分析を最大限に用いたリハビリテーションの具体策~転倒予防編
【講師】石井 慎一郎 先生
https://www.rishou.org/seminar/jitsugi/j27-2023#/

皆様の申し込みを心よりお待ちしております。