日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

Q&A Vol.552 【DVT検出時の離床をどうすべきか】医師に確認すべき2つのポイント

質問

下肢超音波検査でDVTが検出された場合は、離床は控えたほうがよいですか?

回答

下肢超音波検査で深部静脈血栓症(DVT)が検出された場合は、抗凝固療法を開始していることを確認した上で医師と相談をして、離床を検討しましょう。医師との相談のポイントとしては「重症度」と「血栓の経過」です。

DVTの重症度の目安としては、軽症〜中等症の場合は基本的に無症状で経過しますが、筋疲労・下腿が張る・下肢の膨張・浮腫などがみられます。重症の場合は、下肢の膨張が急激に進行する、特有の色調(赤紫色)、緊満痛(触れると痛みが出現する)などの症状が出現します。ひと昔前は、DVTの急性期に歩行などの運動を行うと、肺血栓塞栓症(PTE)が生じると危惧され、ベッド上での安静が推奨されていました。

しかし、抗凝固療法を施行していれば、新たなPTE発症のリスクは増えず、DVTの血栓伸展減少・疼痛の改善などが認められています。よって、DVT悪化防止・患者さんのADL・QOL向上のためにも、早期に離床・歩行を促していきましょう。そして、下肢静脈エコーで血栓の器質化・縮小傾向が確認できたら、下肢の関節運動も取り入れていきます。

一方で可動性血栓や大腿静脈にできる近位部血栓では、肺塞栓症の発生リスクが高いため、DVTがあってもどんどん離床すべき、と安易に判断せず、医師を含めたチームで検討すべきです。医師や看護師、セラピストが協力し、離床・運動する機会を増やす取り組みをしていきましょう。

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