日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

Q&A Vol.457 【動作習得に有用な2つの戦略】脳卒中患者さんの離床に関するQ&A

質問

脳卒中患者さんの離床で動作習得を促進するための効果的な方法はありますか?

回答

動作学習を促進するために効果的な戦略としては、課題指向型トレーニングとエラーレスラーニングがあります。課題指向型トレーニングでは、棚のものを取る、椅子から立ち上がるなど、その人にとって意味のある機能的な作業をもとに練習していきます。患者さんの価値観や好み、ニーズに合わせて明確な目標を設定しておくと、患者さんのモチベーションを保ちやすいのがメリットです。注意点としては、楽に感じる課題を繰り返したり、集中してずっとやり続けると、訓練に飽きてきて効果が出にくくなります。さまざまな訓練課題を織り交ぜながら、適度に難しく感じる課題設定するのがコツです。

一方で、エラーレスラーニングとは患者さんが失敗しないように課題や環境を設定し、成功体験を積み重ねながら能力獲得していくことを言います。エラーレスラーニングのメリットは、失敗によるモチベーションの低下を防げることです。モチベーションの低下は動作習得の成果に直結するので、できるだけ維持していきたいところです。

そこで、患者さんが誤反応なく動作訓練を行える段階まで難易度を調整することで、段階的に負荷量を増やして動作獲得へつなげつつ、モチベーションを高めることができます。例えば、食事動作練習では、まずハンドグリップ付きのスプーンを使用して、小豆を移動させる段階から始め、徐々にグリップなしスプーン、次に箸というように難易度を上げることで、失敗する確率を低くできます。このように、動作習得の効果を高める戦略をとりながら、患者さんが望む目標達成へとつなげていきましょう。

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