質問
脳卒中で右肩片麻痺患者さんがいます。退院後も病前のような本人らしい生活が送れるようにするためには、どのような退院指導を行えば良いでしょうか?
回答
自宅内環境の整備、自立性の向上、の2点を意識して退院指導を行いましょう。 ポイントは、自宅は病院と異なる環境だという点です。
そんなの分かっているよ!と思われるかもしれませんが、細かい点まで、自宅環境を意識して指導できていないケースも臨床では散見されるので、今回は、屋内歩行と入浴場面を例に解説していきます。
例えば、病院では杖歩行にて移動していた患者さんが、自宅内では手すりを使って伝い歩きを行うように指導するとします。 歩き方だけではなく、導線の明かりについて指導していますでしょうか? 夜間の排泄時に、病院では夜間灯があって歩きやすい環境下だったとしても、自宅では廊下が暗くて歩きにくい場合があります。 そこで、退院後の寝室からトイレまでの導線を確認し、照明がつくようになっているか、などを確認することが大切です。 灯りが用意されていたとしても、暗くてスイッチが押せなくては意味がありません。できれば自動で電気がつくライトがあるのが理想で、最近では100円ショップでも手に入ります。
もう一つの入浴動作については、福祉用具としてバスボードを導入するケースは多いと思います。 この時注意して欲しいのは、健側から入れるようにすること、浴槽が深い場合は浴槽台を置くこと、の2点です。 麻痺側から跨いでしまうと、支持性の低下により転倒にしやすくなることと、感覚障害によってお風呂の温度が分からず、火傷のリスクがあります。 加えて、浴槽台を設置すると浴槽内から立ち上がりやすくなるため、介助なく1人でできる可能性が高くなります。 デイサービスを利用して、入浴介助してもらうのも一つの手ですが、入浴は清潔に関わる大切なADLです。
できるだけ本人でできるように周囲の環境を整えることは、QOL向上につながるのではないでしょうか。
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