日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

Q&A Vol.407 【お茶をうまく注げないときのアプローチ】遂行機能障害は動作の分解がキモ

質問

遂行機能障害により、急須でお茶を淹れることが困難な患者さんがいます。よく同じ工程で失敗するのですが、どう対応すれば良いでしょうか?

回答

今回のケースでは、おそらく計画の立案・実行において困難を生じていると思われるので、手順書を用意して手順に従ってもらったり、なるべく工程を簡略化したりすることが重要です。急須でお茶を淹れる工程は、大きく分けて以下の4つです。

1.まずは急須のふたと茶葉の入った缶のふた、中ぶたを取る。
2.そこから茶葉を急須に適量入れ、急須にお湯を注ぐ。
3.最後に急須のふたを閉める。
4.湯呑みにお茶を注ぐ。

ここまでがお茶を淹れる工程です。

ここで、遂行機能障害を呈した患者さんは、急須にふたをした状態でお湯を注いだり、茶葉を直接湯呑みに入れたりします。そこで、この工程を記載した手順書を活用し、正しい順序でお茶を入れるよう繰り返し練習しましょう。作業をある程度ルーチン化できれば、必要に応じて適宜修正を加えていくことで、計画性を持った行動が可能になります。

また、作業工程の簡略化も取り入れてみましょう。今回のお茶淹れの場合は、「ふたなし急須」の活用がおすすめです。ふたなし急須はその名の通りふたがないので、ふたを開ける工程が必要ありません。さらに、お茶が入っているかどうかも確認しやすいので、その後のお湯を注ぐ工程につなげることができます。

遂行機能障害の治療には、医療従事者側の根気強さも必要となります。多職種間で情報共有を行いつつ、統一した方法で患者さんにアプローチしていきましょう。

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