日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

Q&A Vol.387 【初期症状を見逃してはダメ!】CO2 ナルコーシスと離床に関するQ&A

質問

CO2 ナルコーシスは離床で改善できますか?

回答

CO2 ナルコーシスは離床で改善はできません。なぜなら、CO2ナルコーシスの原因は呼吸中枢の異常であり、離床でアプローチすることが困難だからです。そもそも、呼吸の調整は中枢化学受容野と末梢化学受容体という、2種類の呼吸中枢によって行われています。中枢化学受容野は通常の呼吸を調節している呼吸中枢であり、CO2の上昇を感知することで呼吸を調整しています。

反対に、末梢化学受容体はO2の低下を感知することで、呼吸の調整を行っています。健常者は中枢化学受の容野CO2の上昇を感知する方が優位に働いていますが、慢性呼吸不全(COPD)の患者さんは、慢性的な高CO2血症を引き起こしているので、中枢化学受容野によるCO2の上昇に対する感度が鈍っています。この状態で酸素投与量を増やしてしまうと、体内にO2が十分あると末梢化学受容体は勘違いをし、呼吸を抑制してさらにCO2が体内に蓄積されます。呼吸抑制により急激にCO2が体内に溜まると、意識障害を起こします。これがCO2 ナルコーシスによる意識障害です。

よって、COPDの患者さんの離床中に、SpO2が低下した時、急いで病棟へ戻って酸素投与量を上げてしまうと、呼吸を抑制してCO2ナルコーシスを助長させるので、注意が必要です。

対応策として、事前にCO2ナルコーシスの初期症状を押さえておきましょう。初期には呼吸促迫、頻脈、発汗、頭痛といった症状が見られ、進行すると意識レベル低下、傾眠、昏睡へと進んでいきます。COPDの患者さんの離床時には、酸素投与量と症状の変化に注意して進めましょう。

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