質問
双極性障害では、躁状態のときとうつ状態のときでは離床の促し方は変えたほうがいいですか?
回答
変えるべきです。双極性障害において、躁状態のときとうつ状態のときでは、患者さんの精神状態が全く異なるので、対応を変えることを意識しましょう。双極性障害には、過剰に刺激を求めて行動する躁状態と、無気力で何もしたくなくなるうつ状態を繰り返していく、という特徴があります。
躁状態のときは気分が高まっているので、患者さん自身に「自分は病気である」という認識はありません。よって、躁状態のときに直接的な指導や注意を聞き入れるのは困難です。そこで、まずは患者さんが過ごす環境を整えて、病的な行動を抑えることが重要になります。具体的には、病棟生活のルールを書いた紙を廊下に貼っておく、短時間の離床から始める、といった工夫を行い、「枠」を意識するよう働きかけましょう。
躁状態のときは、気分が高まって現実離れした行動をとってしまい、抑制が効かなくなります。よって、ルールや決まりごとの明示により、病的な行動を抑えることが可能です。一方で、うつ状態のときは気分が落ち込む、やる気が起きない、などの症状に加えて、躁状態のときの自分に対する自己嫌悪感も加わり、さらに辛い気持ちになってしまいます。そこで、こちらから離床を促すのではなく、患者さんの話を傾聴しながら我慢強く見守りましょう。患者さんが自分の気持ちを吐き出せるよう、聞き役に回るのが重要です。
双極性障害をはじめとする精神疾患において、離床・リハビリテーションは、ADL維持や社会復帰に向けて重要な役割を担っています。精神状態を見極めて、関わり方を工夫しながら進めていきましょう。
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