質問
COPDでうまく吐けない患者さんには高濃度酸素投与が危険ということですが、どのくらいの酸素投与が適切なのか教えてください。
回答
SpO2のターゲットレンジで管理しましょう。臨床では「酸素は足りないよりも多いほうが安心」という気持ちが働き、必要以上の高濃度酸素を投与することがあります。しかし、慢性呼吸不全でうまく吐けない患者さんに高濃度酸素を投与すると、酸素中毒やCO2ナルコーシスのリスクとなるため注意が必要です。酸素中毒は高濃度酸素によって肺に活性酸素が多く発生し、肺の細胞障害から呼吸困難を起こします。
また、CO2ナルコーシスは、過剰な酸素投与によって急激に二酸化炭素が体内に増加し、意識障害を起こすものです。酸素中毒やCO2ナルコーシスを回避するためには、必要最低限の酸素流量を提供する必要がありますが、酸素流量が足りずに低酸素血症を起こしては元も子もありません。
そこで、SpO2のターゲットレンジという考え方があります。ターゲットレンジとは目標範囲のことで、基本的にはSpO2 92%から96%で、慢性呼吸不全など二酸化炭素が蓄積しやすい患者さんでは、88%から92%を目標範囲に設定するというものです。施設や病棟でターゲットレンジを管理するためのアルゴリズムを決めて、安全に投与を検討しましょう。
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