日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

Q&A Vol.349 【プロセスの分解がキモ!】失行で食事がうまくできないときのアプローチ

質問

失行があり食事動作に障害のある患者さんがいます。どのようにアプローチすべきか悩んでいるので、アドバイスをお願いします。

回答

失行がある患者さんは、一度に複数のことを同時に処理することが困難なので、まずは動作を絞ってアプローチしていくのが良いでしょう。失行とは、パターンや順序を覚える必要がある動作を行うことに困難をきたす症状で、機能的には可能でも、順序だてて物事を遂行するのが難しくなります。なので、まずはひとつずつ確実に動作を覚えるよう支援していきましょう。

その際に有効なアプローチ方法は、正しい動作手順を記した絵を用いて反復練習し、失行の克服を促していく方法です。食事動作の場合は、実際に動作手順を記した絵を患者さんの目の前に置き、作業工程を分けて反復練習します。動作としてはまずスプーンを握るところから始め、口元を運ぶ練習をし、手指の機能向上が見られたら箸動作へとつなげていきます。スプーンや箸でつかむ物して、最初はスポンジやセラブラスト等の弾性に富んだものを用い、徐々に豆や小さいブロック等の小さくて固いものへ移行していきましょう。

一つの動作獲得が不十分な状態で次の動作に進むと、なかなか習得できなくなるので、新しい動作の練習へ移行するときは、なるべく作業工程を小さく分けることが重要です。一度獲得した方法は多職種や家族にも共有し、病棟や生活レベルでも正確な動作遂行を促しすことが重要です。

このように介入するプロセスを明確にし、根気強く患者さんのADL獲得を目指していきましょう。

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