日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

Q&A Vol.302 【右?左?】経管栄養中・後の姿勢に関するQ&A

質問

ヘッドアップが難しい患者さんをベッド上で経管栄養を行う場合、右側臥位と左側臥位のどちらが安全なのですか?

回答

回答者:曷川 元、他 日本離床学会 講師陣

基本は座位やヘッドアップでの経管栄養がベストですが、やむを得ずベッド上で経管栄養する必要がある患者さんもいますよね。右側臥位と左側臥位では特徴が違うため、一概に正解はありません。まず、経管栄養が入ってくる胃の解剖がポイントになります。胃は左腹部に位置し、胃の左側は大弯といって面積が広くなっていて、そこから右側にカーブして十二指腸に入ります。この特徴から考えると、左側臥位では、大弯が下側にくるので、経管栄養を貯めるのに適しているため、「嘔吐しやすい患者さん」には有用と考えられます。

一方で、左側臥位は胃に対して十二指腸が下にくるので、内容物が小腸に移行しやすいため、「胃の動きが弱い患者さん」に有用と考えられます。一律に右、左、と姿勢を決めるのではなく、患者さんのアセスメントに基づいて決めていくことをお勧めします。