日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

Q&A Vol.210 【動けないと4倍悪い!】せん妄を早期に見抜く重要性とは

質問

意識障害である「せん妄」には分類があることがわかりましたが、その種類が重症になりやすいなどの特徴はありますか?

回答

回答者:曷川 元、他 日本離床研究会 講師陣

せん妄は精神運動行動をもとに、
①うつ状態や無関心や傾眠傾向を示す低活動型せん妄、
②常時興奮して落ち着きのない過活動型せん妄、
③両者が混合する混合型せん妄の3つのサブタイプに分類されます。

患者背景によってそれぞれのサブタイプの発生割合が異なりますが、低活動型や混合型が多く、過活動型はごくわずかであることが共通しています。

Robinsonらは、低活動型は、混合型や過活動型と比較して、死亡率が約4倍も高いことを報告しています。また、低活動型は他のサブタイプよりも発見しにくいことも問題です。

患者さんの早期回復を支援するためには、講座で説明したアセスメントを活用し、せん妄を早期に発見するとともに、その裏に隠れている可能性がある重篤な病態へ適切に対応することが重要です。

文献
Robinson TN, et al. Motor Subtypes of Postoperative Delirium in Older Adults. Arch Surg 2011; 146: 295-300.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/21422360/