日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

Q&A Vol.124 フレイルとは病気・疾病のことを指すのでしょうか?

質問

フレイルとは病気・疾病のことを指すのでしょうか?
また、身体機能低下のことをフレイルとイメージしてよいのでしょうか?

回答

回答者:曷川 元、他 日本離床研究会 講師陣

まず、結論からいうと、フレイルとは、病気や疾病を引き起こす一歩前の状態を意味します。

フレイルの定義として、厚生労働省研究班の報告書1)では、「加齢とともに心身の活力(運動機能や認知機能等)が低下し、複数の慢性疾患の併存などの影響もあり、生活機能が障害され、心身の脆弱性が出現した状態であるが、一方で適切な介入・支援により、生活機能の維持向上が可能な状態像」と表しています。

病気や疾病をいつ発症してもおかしくはない状況だと考えられます。

そして、フレイルとは、身体機能の低下をイメージしやすいですが、要素としては、
「身体的フレイル(臓器障害)」
「精神的フレイル(認知機能障害)」
「社会的フレイル(独居・孤独)」
の3つが存在します。

フレイル対象者の輪郭を捉える際、表だって表れやすい身体機能の低下のみではなく、精神面、社会的背景に関しても把握しておく必要があります。
どの要素に影響が起こり、病気や疾病を発症しやすいのか、予防方法はないのか?
フレイルから逸脱した状態は、いわば健康寿命が尽きた状態であり、身体機能障害や精神障害が表れ始める状態です。
高齢者の患者さんのケア・アプローチの際には、ぜひ、広い視野でアセスメントをしてみてください。

1)厚生労働科学研究費補助金(長寿科学総合研究事業) 総括研究報告書 後期高齢者の保健事業のあり方に関する研究 研究代表者 鈴木隆雄